長らく首都圏で働いていて、66歳で仕事をやめ、故郷にUターンした益田のおじさんの、「退職後の男性が無職になるとどうなるか」実体験することになりました。今後、田舎に帰る人や退職後に働かない男性の方々の参考になればと、気が付いたことを書いてみました。おじさんがリタイアしたあと田舎に戻った体験談です。
1.どんな状況になるか
ディメリット(悪いこと実例)
➀男の人の場合、多くが、することがなくなり、体を動かさなくなる。1日家にいる。場合によっては、寝ることが多くなる。
➁筋力の衰えが顕著に。足や膝、腕が動きにくくなる。足が遅くなる。走れなくなる。
③寝る時間が多くなり、時間潰しが増える。
④記憶力の低下が進む。
⑤やる気や気力が衰える。
➅一度怠けると、新しい行動や、再度働きたいと思う気が無くなる。
⑦1日中ほとんどしゃべらなくなる。
⑧夫婦が一緒にいる時間やお互いが干渉されてしまう時間が多くなる。妻から存在を疎まれる危険性が高くなる。
⑨楽しみ、達成感、社会との関わりが10分の1くらいになる。
⑩夜中に目が覚め、睡眠が浅くなる。
⑪趣味に生きるとしても、その頻度が週一程度なら、あまり変わりがない。やるなら没頭できる趣味が必要。
⑫いろいろやろうと持ったことも、なかなかできないことを痛感する。
メリット(いいところ実例)
➀自由な時間が取れる。1日の時間を自由に自分で決められる。時間に追われないですむ。
➁行きたいとき、やりたいとき、やらないといけないときが自由に取れる。
③寝たいときに寝ることができる。
④無理をしなくなった。
⑤ストレスフリーで、緊張することもなく、ストレスによる体調不良はなくなる。
➅やりたいことがあれば失敗を恐れずに挑戦できる(時間がありやり直しができるので失敗しても気にせずできる)。
⑦自然とのふれあい・発見などが多くなる。
⑧お金より人との触れ合い、出会いを大切に思うようになる。
⑨人付き合いも含めていやならいつでもやめることがやりやすくなる。嫌ならいつでも辞められる環境を得られる。
⑩時間がある分なんでも挑戦しやすくなる。
⑪自分自身を見つめなおすきっかけになる。
⑫1日を自然や自分に合わせて生きられる。
⑬自分で選択することが多くなる。自分のためだけに生きられる。
⑭知らなかったイベントやこんなものがあるという新しいことを発見しやすくなる。
⑮感動、心の豊かさを持てるようになる。
2.ディメリットの対策
(1)夫婦関係
➀お互いが違うものとして、出来るだけ干渉しない。
➁最低限一緒にやることを決める。
例えば、朝、夕の食事、週数回の買物、イベント参加など。昼は各自で対応する。
③家事を幾つかの分担する。
例えば、食事作りとか、掃除とか、皿洗とか
④奥さんが自由にする時間を確保する。
(2)生活関係
➀1日1回、何か、楽しみを作る。
例 mlbをみる。大谷君を見る
スポーツイベント(五輪、Wカップ)
➁楽しみに関した知識を深める。資料調べやいろいろ考える
③毎日何をしたか、何を食べたか、日記または記録を残す。昨夜何食べたか、次の日に思い出す
④散歩など体を強制的に毎日動かす(1日4000~5000歩以上をめどに)
⑤散歩などで、日々の小さくてもいいがちがいを見つけ、写真をとる。
➅新しい発見をしたら感動し、写真に残す。
⑦写真の整理、発信する。
⑧イベントにできるだけでる、参加する。
⑨WEBやSNSで発信する。
⑩家族、友だちとのLINEなど毎日する。
⑪無理に寝ようとせず、自然にまかせる。昼寝むくなれば寝る。
⑫人と知り合う機会を大切にする。増やす。
⑬あせらない。趣味を無理に作らない。趣味がないこともマイナスとは思わない。
⑭わからないこと、興味あることは、検索して調べる。
⑮ボランティアや地域でやっている活動グループに参加してみて、会えば本格的に参加する。
⑯地域の状況をよく知る。地域の行事には参加してみて情報収集する。合わなければ早めにやめることも重要。
⑰家や家周辺を綺麗にする、修繕することから始める。
⑱ボランティア活動に参加
自治体主導のボランティアは期待できない。地域で自分でボランティアを探して、やってみる
⑲自分の好きなもの、得意なものをベースにできるものを考える。
⑳過去の自分の経歴や経験を押し付けない。
㉑今がチャンスと思って、これまでやったことないことをやってみる。
3.【参考】具体的なUターンの体験談
(1)なぜUターンしたのか?
首都圏は、とても魅力的で、特に若者やお金のあるもににとっては住みたい場所ですが、65歳を超えて、何か都会暮らしに違和感を感じました。
まず、散歩やジョギングする場合、いい公園なども多々ありますが、基本同じ景色を、年中見ることで、自然との触れ合いがないと感じました。人生に面白みがなくなりました。都会では、散歩道や公園に時間を潰す高齢者が多くみられ、もっと毎日を楽しく変化のある自然が身近にある中で暮らしたいということが一番の理由です。
2つ目は、都会はいろいろなものを与えてくれますが、ほとんどが受け身で、自分が見つけるという楽しみがすくないかとかと。
3つめは、住みやすさでいえば、安いものは努力すれば都会の方が安い店を見つけられますが、全体的には田舎の方が安くできますし、食べ物の本当のうまさや、人の温かみを感じれるのは田舎かと思いました。
4つめは、首都圏は、遅かれ早かれ、大きな地震が発生する確率が高く、地理院の地震発生確率でも、低い確率の地域が、故郷の島根県の益田市近辺だったこと。実際、この近辺では、生まれてからほとんど大きな揺れを感じたことはありません。ちょっとした地震でも、皆驚くほどです。
以上から田舎に帰ろうと決心をしました。一般に移住の障壁の一つが、交流が都会にあり帰りたくないという一般的な奥様の気持ちがありますが、幸い私の奥様も帰ることを賛成してくれて無事に田舎にUターンすることにしました。同じような気持ちがある都会の皆様、地方への移住を考えてみては。
思い立ったら、行動を!
70歳以上で帰ると、地元の方とのふれあいの機会がメッキリへり、老後のことを考えると地元に溶け込む時間が必要というので、健康年齢がまだあるうちに帰ることを決めました。年を取ってから田舎という方もおられますが、田舎で孤立生活になることが多く、健康で動けるまでに地元に入り込むことが大切です。
幸い、出身地のため、小中高の同級生などとも連絡が取れるため、何人かとは連絡が取れていますし、早く帰って地域の方々のために貢献していくことも大事だと思います。移ったところ方とのコミュニケーション、これが一番大切なことです。
(2)実際の体験談
2023年4月に田舎に移住。その後の体験を、参考に記載しました。
➀就職事情
自分の力を地元で活用できたら、あるいは体に無理のない程度に働けたらと思っているかたもいると思いますが、人で不足の現在でも、それは甘い考えです。65歳を過ぎて、求人が比較的多いのは、一部の体力が必要な業種で、事務職などの職はほとんどありません。そうですよね。自分が人事担当でも年とった物わかりの良くない高齢者を雇うのはためらいますよね。そんな都合のいい就職先はありません。
シルバー人材センターに登録して、月10日程度働いたとして、月数万円があるのは生活にとっては大変助かりますが、こうした形態が一般的な働き方になることを覚悟してください。自分の能力を生かす仕事場は、あまり多くないとおもってください。なんでもやってみる気がないと。
また、働く意識は、働けてラッキーとして、それに不平や不満を言うことなく、感謝しながらやることです。それができない高齢者、特に以前に高い職位置にいた方は、そのギャップが埋めらないことが多く、素直な考えを持てる人でないと、なかなか高齢で働くことは難しいかと。ほとんどが、いままでやったことのない業務をやることになり、いい経験ができると思います。積極的に取り組むのもいいかと思いますが、自分の能力に合わない職種もあるので、無理しない程度に頑張るのがコツかと。
➁ボランティア
Uターン前に、田舎に帰って、これまでの恩返しに、人のために役立つことなどができたらと思っていましたが、難しいです。例えば、ボランティア活動を探して、市のボランティアに登録しましたが、1年以上たっても連絡はありません。しかし、ボランティアは、探せば結構あります。
現在知っているボランティア
大きな公園の掃除(各公園の事務所なりに聞いてみてください)
地域の公的施設などでのボランティア
地域住民が行っている地域活動の会・グループ(私の場合は雪舟の庭を愛でる会)
※月2回第2,第4の土曜日、日本遺産の雪舟の庭の掃除と、雪舟をアピールする会。WEBページのメールに連絡を。
地域の協議会に連絡してください。
その他探せば、ボランティア活動はいろいろありそうです。
③夫婦関係
多くの高齢者の問題で、自分の居場所がない。家では奥さんから家にいないで外に出かっけてという言葉を言われ、外でも家でもやることがない人生におちいってしまいます。
奥さんがいう言葉もわかります。今までいなかった亭主が家にいて、その分面倒が増え、自分の自由時間が無くなるわけですから。それに関しては、相互に立場をわかることが重要で、いい解決方法は、いわゆる”卒婚”ライフスタイルです。ご飯を食べるだけの2時間程度は一緒にいて、後は全く干渉しない別々の生活をするのです。これは、割と快適です。ただし、都会では難しいですが、田舎だと家も広く、別々の部屋をもち、一緒にいなくても過ごせる家が必要ですし、時間を過ごせる家以外の場所も必要です。たまに同じイベントに参加したり、喧嘩したり、話したりするでも、夫婦のコミュニケーションが保たれているということができたのも幸運でした。皆さんも試してみては。
あと重要なのは、奥さんに頼り切らないこと。自分は家事ができない、選択ができない、どこに物があるか奥さんがいないとわからないのはもってのほかです。すべて、自分で一通りできるようにし、可能なら家事の分担や、料理をたまに作るのがキーです。ぜひ、暇を持て余すのではなく、料理教室や家事の分担をやりましょう。ここで、一番重要なのは、やってあげているという意識ではなく、一緒に人生の終活をしている人生のパートナー・友という意識です。できれば、それが楽しみになればベストです。なお、料理だけやって片付けは奥さんというのは最悪で、やる限りは、全部自分で片付けまでやりましょう。できれば、奥さんの苦手な、片付けや掃除は、旦那さんの役割がいいのではないかと思います。
④趣味について
リタイアしたら、趣味三昧をという人の話を聞きます。しかし、仕事ばかりしてきた夫が、リタイアして急に趣味を見つかられません。
一方、世の中の風潮で、趣味がないとダメ人間というレッテルを貼られてしまうことがあります。実際私の周りには、登山やカヌー、自転車、写真、バイク、ゴルフ、農作業などを趣味にする、素晴らしい人たちがいます。素晴らしい退職生活だと思いますが、私のような趣味のない人が、不幸かと言えばそうではありません。その人その人にあった生き方ができればそれでいいのです。趣味がなくても生きていけます。無理して趣味を見つけることはやめて、ゆっくり探せばいいです。
私の場合、帰ったら、やってい見たいこと10個を上げてやっていこうとしましたが、ほとんどまだできていません。
それでも、私にはやるべきことが山ほどあり、決して毎日が退屈で、時間つぶしの毎日でではないのは、幸せなことでした。
⑤人との付き合い・出会いの大切さ
私には、故郷に小中高と一緒に学んだ友達がいました、私は、小中を同じクラスでずっと9年、高校は別なメンバーで同じクラスで3年過ごしてきたため、同じ人との交流だったこともあり、現在も連絡している人もいて、とても助かりました。本当に皆さんに感謝です。
また、昔住んでいた地域で親も含めた関係をしてきた地元の人々や、住んでいる地域の皆さんとも関係が作れて、孤立した生活になっていないことに感謝です。
奥さんも、私を積極的に外に誘ってくれているのも、助かっています。
一番重要なことは、自分を過大評価しないこと、大きな期待を持たないこと。できることを、地道にやっていきましょう。また、孤立しないように、いろいろな方との交流を進めましょう。
➅実家の草刈り、自然の驚異
私の実家はこのあたりでは高い山(359m)の中国山地方向の麓にあり、ぽつんと一軒家です。ここから、小中は3.5㎞を徒歩で、高校は川沿いまで下ってバスで20分通勤していました。
この場所は、中国山脈が見え、雲海なども経験できる絶景で、周りには家がなく灯りもない場所です。星を見るにはとてもいいところで、天の川に埋もれる感覚を味わえるのもここならです。



現在この家を維持しているのですが、3月末から11月末まで、家の周りや前の300坪の畑や、道路沿いの草刈りをしないと、草に人間が負けてしまう状況です。また、昔の名残の水源からの水を逃がす水路の確保も大変です。
大変さその1 草刈
雑草は1ヶ月で元に戻るほど生命力が強いのです。2日置きに2時間草刈りして、2週間で一通り草刈りしますが、2週間休むと、1ヶ月前に刈ったところからまた草が茫茫に。1~2ヶ月毎に一連の草刈りを、11月まで繰り返さないといけないのです。
大変さその2 イノシシとアブと蜂の攻撃、時々くまさんが
一番の大敵はイノシシです。イノシシは、夜闇に隠れて行動するため、家の周辺で実際の姿は見たことがないのですが、その被害は毎日でエンドレスです。彼らは、食べ物をあさるのですが、主にはミミズで、そのため畑や道路沿いの土、水路を掘り起こし、道路には土が崩れ落ち、畑は穴ぼこと掘り起こされた土山で凸凹に。水路はふさがり水は履けなくなります。その都度直しますが、毎日の行動で、やってもやっても繰り返す毎日です。イノシシは本当に大変で、彼らがいなければやるべきことは半分になるのでは、イノシシさんとサヨナラしたいと思う毎日です。
次に大変な敵はスズメバチおよび泥蜂です。彼らは、家の中や土などに穴を掘って巣を作りますが、どこに巣があるかわからず、作業中に刺される恐れがあります。退治したくても、生命に危険があるため、通販で買った防護服を着て、退治したりしていますが、酢がわからないでやってくるものはどうしようもありません。昔は、ここまでスズメバチはいなかったのですが、最近の傾向なのでしょうか。その分昨年はミツバチを一切見なくなりました。
最後に、アブです。アブは蜂ほどではありませんが、刺されるとたまらなく痛さと痒さを伴った腫れができてしまいます。草刈りをするときにどこからとなくやってきて体液をすうアブ、この攻撃に悩まされます。そのため、活動が弱い早朝での作業と、白い厚手の作業服で対応するしかありません。
最近クマが出没するようになりました。熊はクマの道があり、どこにでも出るものではありません。地域の猟師さんに熊の道を聞いてみて安全を確認してみては。でも最近の熊は、度外視してどこでも出現するようになったので、熊用の鈴、できたらスプレーやシャベルなどの武器になるものを持つようにしましょう。
大変さその3 落ち葉や枯れ木
落ち葉は秋のものという認識をもつ都会人にはわからないでしょうか、年中落ち葉や枯れ枝は落ちてきて、道を占領したり、水路をふさいだりします。これも、繰り返しでエンドレスです。
これらの自然の力強さに、体力も精も果ててしまうのですが、この繰り返しを、私の親や祖父母は一生やってきたんんだなと思うと、また頑張ろうと思えますし、私を東京に行かせてくれた父母に感謝をする日々です。本来なら私が家を継いで、自然との暮らしをやってきたはずなので。
⑦家のリホーム
住む家は、妻の親が持っていたものを受け継いで住んでいます。夫婦2人には広すぎる家ですが、親の想いや思い出が詰まったこの家を、終の棲家と考えています。家を残してくれた親たちに感謝です。
ただ、他にもれず、家は素晴らしいのですが、古さがあり、いつ壊れてしまうかわからないので、住むために必要な最低限の家のリホームを行いました。約1ヶ月かかりました。
内窓の設定をしました。内窓は断熱にも、防犯としてもいいです。補助金などを活用して是非つけてみることをお勧めします。
家が古い場合、自分たちの代しか使えないことも多くあります。古い家を売る場合、建物を撤去するのに最近はかなりの額になることを覚悟しておいてください。リホームしてまだ数十年使えるものはいいですが、古い家は将来売っても価値がほとんどないこともあり、過度にリホームはしないほうがいいかと。最低限に自分たちが暮らすのに困らない範囲でリホームするのがコツです。バリアフリーもいいですが、将来歩けなくなった場合、施設に入る覚悟がある方は、過度のバリアフリーは無駄になることを考えてやりましょう。
地域の建設業者にお願いしたこともあり、お金が地域に還元できたので、少しはその意味でも貢献できたのではと思っています。